治療事例

オステオパシーの治療事例について

 

TREATMENT CASE

治療事例

*治療効果・期間には個人差があります。同じ症状の方でも同じ経過をたどるわけではありません。

・倦怠感、頭痛、不定愁訴 30代 女性
【症状】
来院する2週間ほど前に仕事中に人とぶつかり、それから全身の倦怠感、疲れやすさ、激しい頭痛、膝や手首の痛み、腰の痛みなど様々な症状が出現するようになる。
安静や整骨院での治療等で改善がみられず来院。
 
【既往歴】
甲状腺機能低下症、交通事故(追突)、激しい転倒で頭部と腰を強打
 
【評価・施術】
オステオパシー検査により全身を診察すると、人間が生命活動を行う上で重要となる“一次呼吸”(肺呼吸とは別の、全身の体液を循環させたり、組織の膨張・収縮という律動的なリズムを生み出す生命活動における根源的なシステム)が障害されうまく機能していないことがわかった。そのせいで体液の循環が低下し、呼吸が浅くなり、身体の治癒力がほとんど働いてない状態であった。

施術はこの一次呼吸病変を解除することに重点を置き、仙骨の動きを解放し、一次呼吸を正常化させるテクニックを行った。
 
時間をかけて各部位を治療し一次呼吸が回復すると、呼吸が深くなり、立ったときにしっかりと体重をかけられるようになる、頭が軽くなる、などその場で大きな変化を得ることができた。
 
治療後、日が経つにつれてどんどん症状が改善し、倦怠感や疲れやすさはもちろん、施術中は直接触っていなかった膝や手首の症状も消失し、活力がみなぎってきたとのこと。

その後も数回治療を行い、数年間感じることのなかった身体の軽さを感じたり、生理前後の体調不良もいつのまにかなくなっていた。
 
以降、仕事がキツかったり無理をすると痛みが出たりするものの、一晩休めばまた元気になっている、というように身体の治癒力自体が高まり、健康的で活力のある状態が続いている。
現在もご本人の希望により月に1回程度のペースで定期的に治療を受けられている。
 

【解説】
この方の場合、過去に交通事故や激しい転倒の既往があったため、一次呼吸がもともと弱まっていたのだと考えられる。そこに、仕事中の人との接触が重なり、一次呼吸がより強く障害され、全身の倦怠感や痛みを引き起こしたのだと思われる。

身体の歪みや関節の可動域、各部位の痛み等も診るべきポイントではあるが、一次呼吸に問題が有る場合は先ずこの病変を見つけ、治療する必要がある。

この病変は決して珍しいものではなく、全身のあらゆる症状の根底に潜んでいたり、また全く自覚症状がない人にみつかることもある。

一次呼吸病変は人が生まれて来るときの産道の圧力やへその緒が首に巻きつくなどの出生時のトラウマや交通事故、強い外傷、ショックの大きい出来事などで引き起こされる可能性がある。

この病変が有る場合、身体の様々な機能をつかさどるメインスイッチがOFFになっているようなものなので、一刻も早く見つけ出し、治療する必要がある。
 
身体に症状や不調としてあらわれているものが一次呼吸病変と関連している場合は、その問題を取り除くことで身体の様々なシステムが正常に働くようになり、治癒力も高まるため、大きな改善が期待できる。逆に、一次呼吸病変があるにも関わらず症状に対してのみの治療しか行わない場合は、根本的な問題が残っているため、その場限りの変化か、改善がみられないことがほとんどである。
 
・四十肩 40代 女性
【症状】
2年前から続く右肩の運動痛、安静時痛、可動域制限
 
【既往歴】
出産による帝王切開手術
 
【評価・治療】
オステオパシー検査により全身を診察したところ、帝王切開の手術痕が原因で骨盤内に強い癒着があることがわかった。その癒着により内臓の各臓器を包んでいる膜性組織を引っ張り、子宮~腸間膜~肝臓~横隔膜~心膜および右肺胸膜まで緊張が連鎖し、そのせいで右の肩関節の動きを制限し、固着を起こしたような状態になっていた。
 
右肩自体の問題はそこまで強くなかったため、帝王切開の手術痕、骨盤内臓器の癒着の解消を主とした施術を行った。
 
治療前に横から挙げる動きが1 2 0°くらいしかなかった可動域が治療後は腕が耳につくくらいまで改善する。また、痛みも2回目に来たときは10→2になっており大幅な改善をみせる。
 
2回目以降は右の股関節や腰・骨盤周囲の痛みなどが徐々にあらわれる。これは、右肩の症状の軽減に伴い、骨盤の癒着が他の部位に及ぼしている影響を身体が感じ始めたためである。人間の身体は地層のように様々な問題が折り重なっており、一つの問題が取り除かれると新しい症状が出てくることは珍しくない。このような変化は身体にとってはポジティブなものであり、治療を重ねることでどんどん悪いものがなくなり、全身が調和のとれた状態になっていく。
 
数回の治療で右肩、以降に出てきた腰や股関節等の痛みも順調に解消し、以後は体調を崩したときや無理をして痛みが出た際に受診されている。
 
【解説】
この方のように骨盤内や腹部の手術が原因で肩にまで影響を及ぼすことは全く珍しいものではなく、むしろ全身どこの部位でも手術後の癒着は後々必ず何かしらの問題を引き起こす、考慮すべき要因の一つである。
 
手術といわれると大きな開腹手術をイメージする方が多いが、盲腸やガングリオンを除去する程度の小さな手術でも身体に与える影響は大きなものである。
 
また、内視鏡やカテーテル、レーザーを用いた手術も侵襲性が低いということはなく、むしろ内部をかき回したり傷つけたりする為にメスで行う手術よりやっかいな問題を引き起こすこともある。
 
このような場合根本的な原因は手術痕ならびにその周囲の癒着であり、痛みや可動域制限がある部位だけを扱っても対症療法にしかならず、治癒は期待できない。
 
オステオパシーでは常に、手術の影響に限らず、痛みや不調を引き起こしている根本的な問題を探し出し、取り除くため、40肩50肩などのように一般的には治癒に時間がかかると思われている症状でも比較的早期に改善することが期待できる。
 
・心臓の痛み 30代 男性
【症状】
半年前から続く心臓の痛み、締めつけ、動悸。仕事中に立っていられないほど激しい。どんどん悪化している。
心筋梗塞や狭心症の可能性を考慮し、循環器内科等複数の病院を受診し各種検査を受けるが、心臓や血液等の明らかな問題は発見されず、医師からは「原因不明」と診断を受ける。
 
【既往歴】
特になし。問診にて毎日飲酒することを聞く。かなり量を飲む。
仕事のストレスが強い。
 
【評価・治療】
オステオパシー検査により全身を診察したところ、心臓ではなく腸を包んでいる腸間膜および小腸の強い緊張を認める。

飲酒、ストレスにより腸に負担がかかり、腸を包んでいる腸間膜を介して横隔膜に緊張が伝わり、横隔膜から伝わった緊張で心臓を包む心膜が強く引っ張られ、心臓の痛みや締めつけを発症していたと思われる。

小腸や腸間膜、腹膜全体の緊張を取り除き、アルコールの分解作用を強めるため肝臓の治療をしたのち心膜と胸郭全体を解放し、十分なスペースが心臓の周りに確保できるようバランスをとり、心臓が力強くリズミカルな固有の動きを獲得できるよう働きかける。加えて、自律神経の乱れと血管運動の正常化の為、胸椎から腰椎にかけての交感神経にアプローチし、最後に脳室の治療を行い全身のコーディネートを行うとともに組織の活性化を促して治療を終了する。

1回の治療で症状はほぼ消失し、2回目の治療後から日常生活・仕事ともに気にならなくなったので治療を終了する。
 
【解説】
内科的な問題であっても原因は別のところにあることが多く、病院で原因が分からないといわれた症例であっても、オステオパシーの検査で隠れた原因を見つけだすことができることが多い。そして、見つけ出した根本的な原因に対し治療を行うことで、上記のように症状が発症してから時間が経っていても変化がすぐにあらわれる場合もある。
 
それとは逆に、病院で病名をつけられるような症状であっても、オステオパシーの治療によって自然治癒力を高め身体のシステムを正常化することで改善が期待できる症例も多数存在する。
 
*オステオパシーは西洋医学に取って代わるものではなく、日本においてはあくまで代替医療としての役割を担っています。
この方のように、重度の疾患をお持ちの方、疑いのある方はまず医師の診断をお受けください。その上で代替医療として当院を受診していただくことをおすすめ致します。
 
・小児の治療 9ヶ月 男の子
【症状】
鼻水・鼻づまり、湿疹。常に鼻の奥がゴロゴロしている感じで鼻水も毎日タラタラと流れている状態。鼻づまりのせいで口呼吸が甚だしい。夜も目が覚めやすい。
 
【既往歴】
出産がかなりの難産であった。加えて、生まれたときにへその緒が首に巻いていて、呼吸が止まっていた。
 
【評価・治療】
出産が難産であったこと、へその緒が巻いていたことで頭蓋骨が変形し、一次呼吸システムが障害され、頭蓋骨や骨盤の膨張・収縮がうまくできていない状態であった。
 
頭蓋骨内の蝶形骨と後頭骨の結合部、蝶形骨と篩骨の結合部に固着を認める。また、腰仙関節の圧縮と腹膜全体の緊張も見受けられた。
頭蓋骨、骨盤ともに可動性が乏しく、頭蓋仙骨システム(頭から背骨、骨盤まで脳脊髄液を循環させ脳や脊髄に栄養を与え、老廃物を洗い流す働き)がうまく機能していなかった。

治療は、骨盤、腰仙関節、頭蓋骨の可動性を獲得し、頭蓋仙骨システムが正常に働くように促した。

治療後から鼻水・鼻づまりはほぼなくなり、湿疹も軽減する。

ちなみに治療した日はまだつかまり立ちがやっとであったが、治療翌日からいきなり歩き回るようになったとのこと。
 
【解説】
出産が難産、早産、吸引分娩、紺子分娩、帝王切開、陣痛促進剤を使用、へその緒が巻いていた、などの場合は出生時のトラウマを抱えた状態で生まれ、一次呼吸病変をはじめとする様々な問題を引き起こすことが多い。
 
ADHDや多動症などの発達障害や学習障害、アトピー等のアレルギー症状、病気にかかりやすい、てんかん、なども出生時の問題が深く関わっている。
 
上記のようなことがらが当てはまる場合、なるべく早期にオステオパシーの治療を受けることが望ましい。